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名古屋巡礼記:81

式年遷宮/2

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[表参道火除橋]
火事を避けるために造った堀川に架かった橋。


伊勢神宮は普通の神社とは異なり内宮と外宮の2つに別れているので、
参拝の順路としてはまず外宮からというのが習わしのようだ。
伊勢市駅から歩いて7分ぐらいのところにある外宮へ。
要は神々に食物を司る豊受大御神に参拝したのち、
内宮ヘ行って太陽神である天照大御神に参拝するという順番になる。
宮域にある別宮にも参拝する場合は別宮に参拝した後に正宮に参拝する。
コレまた、習わし。宮域には別宮以外にも摂社末社がたくさんあるので、
そちらも含めて参拝すると御利益テキメンだろう。
参拝する時は二拝(2度お辞儀をする)次に二拍手(手を2度打つ)
最後に一拝(1度お辞儀をする)というのが神道の作法になっている。
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[手水舎]
火除橋を渡るとすぐ左にあり、ここでまず浄める。


JR伊勢市駅から駅前の商店街を抜けると、高倉山の麓に広がる森が外宮だ。
外宮の祭神、豊受大神は天照大神の食事を司る御饌都神(みけつかみ)で、
約2000年前の内宮鎮座の500年後、丹波の国からここに迎えられ、
以来、産業全般の守り神として祟敬されてきた。
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[清盛楠]
かの平清盛が参拝の折、冠に触った枝を切らせたという曰く付きの古木。


外宮の御饌殿(みけでん)では毎日欠かさずおこなわれている祀りがある。
日別朝夕大御饌祭といって、朝と夕の1日2回神様に食事を差し上げるもの。
当り前のように思うが、これが外宮の鎮座以来1500年間、
戦乱の世や嵐の日にも続けられてきたのだ。
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[神楽殿]
一の鳥居から正宮への参道の途中にある入母屋造りの建物。


祀りに奉仕する神職は前日から潔斎をおこない、
早朝、火を起こすことから始めるという。
木と木を擦りあわせて発火させるという弥生時代と道具を使っての作業だ。
そして井戸から水を汲み、食事を調える。
神様の食事は基本的に御飯と塩と水。それに季節の野菜や魚、海藻などで、
食材は神宮専用の田畑で収穫されたもの主に使うという。
厳粛な雰囲気の中、祀りは続いてゆく。
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[新御敷地]
正宮の隣にある白石敷かれただけの遷宮用地。


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豊受大神宮正宮
祭神:豊受大神(とようけのおおみかみ)
鎮座:三重県伊勢市豊川町(近鉄/JR伊勢市駅から500m)
4重の御垣に囲まれて、豊受大神を祀る御正殿か五丈殿の横に建っている。
東北の隅に日別朝夕大御饌祭がおこなわれている御饌殿がある。

詳細:皇大神宮(内宮)ご鎮座より遅れること481年、豊受大神宮(外宮)は内宮に祀られている天照大神が召し上がる食事の守護神・豊受大神を祀っている。この神は別名御饌都神(みけつかみ)とも呼ばれ、丹波の国(今の京都府下、天橋立付近)から迎えたと言われている。唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)と呼ばれている建築様式で建てた正宮はほぼ内宮の正宮と規模や造りは同じであるが、鰹木が内宮より1本少なく、千木が外削(先端が垂直に切られている)になってる。
※別宮は正宮との間柄を示す称号であり、あたかも本家に対する分家の意味で「わけみや」として重んじられているという。豊受大神宮(外宮)には宮域内に3ヵ所、宮域外に1ヵ所の別宮がある。
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豊受大神宮別宮…多賀宮(たかのみや)
祭神:豊受大御神荒御魂(とようけおおみかみのあらみたま)
鎮座:三重県伊勢市豊川町(近鉄/JR伊勢市駅から500m)
正宮前の御池にかけられている亀石を渡ると右手に土宮、左手に風宮が見えてくる。
正面の98段の石階を登ると檜尾山に南面して外宮の第一別宮である多賀宮がある。

詳細:ここは和御魂を祀る本宮とは対になっているお宮で豊受大神の荒御魂が祀られているという。神や人間の霊魂は一霊四魂、つまりひとつの霊と四つの魂から成るとされ、一霊は直霊(ナオビ)で、四魂は荒魂(あらみたま)・和魂(にぎみたま)・奇魂(くしみみたま)・幸魂(さきみたま)とされ、御魂のおだやかな姿を和魂とするのに対して顕著なご神威を表わしている御魂の働きを荒魂という。外宮が創立された際、ここ多賀宮も同時に奉斎されたと伝えられている。神宮14別宮のうちで内宮の別宮である荒祭宮同様、特に重きが置かれ、20年1度の大祭である式年遷宮でもこの2宮だけは正宮に引き続き真っ先に遷宮をされる。また、事を起こそうという時はここへお参りに来る、という信仰がある。
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豊受大神宮別宮…土宮(つちのみや)
祭神:大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)
鎮座:三重県伊勢市豊川町(近鉄/JR伊勢市駅から500m)
豊受大神宮の大前の御池の真向かいに広がる深い杉木立の中、
大土乃御祖神を祀る土宮がある。

詳細:伊勢市の西を流れる宮川はかつては市街地に流れ込んでいたのでその治水は神宮にとっても非常に重要であった。そのため昔から外宮のある山田の原の守護神としの大土乃御祖神を祀ってきた。余談だが、他の別宮が全て南に面しているのに対して土宮だけが東面を向いている。これについては南面に建てれば正宮を後にするとか、地勢の便宜上の理由によるとか、古来種々論じられてきたが定かではないようだ。但し、理由の如何にかかわらず東向きに鎮座するということは外宮ご鎮座以前に遡った古態を残したものと言えるだろう。
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豊受大神宮別宮…月夜見宮(つきよみのみや)
祭神:月夜見尊(つきよみのみこと)・月夜見尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま)
鎮座:三重県伊勢市宮後1-1006(近鉄/JR伊勢市駅から500m)
外宮の北御門口から神路通りを北に約300m行くと
天照大神の弟神である月夜見尊を祀った月夜見宮がある。

詳細:月夜見尊は皇大神宮別宮の月讀宮に祀られている月讀尊と同じで、外宮の別宮では月夜見尊となる。地元では月讀=げつどくさん、月夜見=つきよみさんと呼び分けている。太陽神である天照大神が見えるもの・昼を司るのにたいして、見えないもの・夜を司る。陰陽で言えば天照大神が陽であるのに対して月夜見尊は陰であり、陰陽の両方があって初めてこの世界が成り立つという構造を持っている。
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豊受大神宮別宮…風宮(かぜのみや)
祭神:級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)
鎮座:三重県伊勢市豊川町(近鉄/JR伊勢市駅から500m)
多賀宮へ上る石階のすぐ左脇に土宮とはちょうど反対側に当たる
東側のところに風宮がある。

詳細:元来風宮は多賀宮へと続く参道沿いの杉の木のふもとにあった小さな祠で、風雨の災害なく稲を中心とする農作物が順調に成育するようにと祈りが捧げられる社であった。1281年の元冦に際して蒙古の敵軍を全滅に至らしめた神風の功により、別宮に昇格したと言われている。級長津彦命、級長戸辺命は祓戸(はらえど)の神様とされ、神社を参拝する時に祓う(浄化する)ことで、心身共に清々しい状態で参拝することができるという意味で、まず最初に参拝する別宮とも言われている。

次回はいよいよ本丸に当たる内宮のことを詳しく取り上げていこうと思う。
それまで、暫し待たれよ!
by tomhana0903 | 2006-10-18 06:51


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